Z5IIは、ニコンのフルサイズ機の入門にあたるカメラです。ただ、中身は「入門」の枠に収まりません。上位機と同じ画像処理エンジン(EXPEED 7)になり、AFと高感度がはっきり底上げされています。これまでの機種では任せきりにしにくかったAF-A(AF-SとAF-Cの自動切り替え)も、Z5IIなら安心して任せられます。
ボディの力が上がったぶん、差がつくのはレンズです。この記事では、Z5IIに合うレンズを用途別に選びました。標準ズームはF4とF2.8のどちらを選ぶか、望遠は空港で飛行機を撮る視点で、それぞれ比べています。仕様の数値はメーカーの公表値です。
結論:目的別の1本
| やりたいこと | 選ぶレンズ | 質量 | 本体込み |
|---|---|---|---|
| 身軽に日常と旅行 | NIKKOR Z 24-105mm f/4-7.1 | 350g | 約1,050g |
| 何でも撮れる1本 | NIKKOR Z 24-120mm f/4 S | 630g | 約1,330g |
| 明るさとボケ | NIKKOR Z 28-75mm f/2.8 | 565g | 約1,265g |
| 最高の写り | NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II | 675g | 約1,375g |
| 飛行機・野鳥 | NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S | 1,435g | 約2,135g |
本体の質量は約700g(メーカー公表値)で計算しています。
Z5IIのレンズ選びで押さえたいこと
フルサイズなので、焦点距離はそのまま
Z5IIはフルサイズ機なので、レンズに書かれた焦点距離がそのままの画角になります。APS-C用の「DX」レンズも付きますが、画面の中央だけを使う撮影になるので、Z5IIでは「FX」(フルサイズ用)のレンズを選ぶのが基本です。
ボディ内に手ブレ補正がある
Z5IIは5軸のボディ内手ブレ補正を備えています。レンズ側に補正(VR)がない明るい単焦点やF2.8ズームでも、手ブレを抑えられます。VR付きのレンズでは、レンズ側の補正も使えます。
バリアングル液晶が、広角と望遠の撮り方を広げる
Z5IIは液晶がバリアングル式になり、屋外で高い位置や低い位置から撮るときに、画面が見えにくくなる問題がなくなりました。広角で地面すれすれから見上げる、望遠で人垣の上から狙う、といった撮り方がしやすくなっています。
標準ズーム:F4か、F2.8か
Z5IIで最初に悩むのが標準ズームです。選ぶ基準は「望遠側の長さ」「明るさ」「重さ」の3つで、どれを優先するかで答えが変わります。
| レンズ | 焦点距離 | 開放F値 | 質量 | 最短撮影距離 |
|---|---|---|---|---|
| Z 24-105mm f/4-7.1 | 24-105mm | F4-7.1 | 350g | 0.2m |
| Z 24-120mm f/4 S | 24-120mm | F4 | 630g | 0.35m |
| Z 28-75mm f/2.8 | 28-75mm | F2.8 | 565g | 0.19m |
| Z 24-70mm f/2.8 S II | 24-70mm | F2.8 | 675g | 0.24m |
NIKKOR Z 24-105mm f/4-7.1:Z5IIといちばん釣り合う軽さ
細身で約350gと軽く、持ち歩くときも構えるときも負担が小さいレンズです。S-Lineのような解像は望めませんが、画面の中央はとても高い解像で、日常の1本としては予想を超える写りです。
24mmと50mmで0.2m、望遠端の105mmでも0.28mまで寄れるので、明るくないレンズでも寄ってボケを作れます。コントロールリングに絞りやISOを割り当てれば、構えたまま設定を変えられます。何より、この軽さなら身の回りのあらゆる瞬間が撮りどきに思えてきます。
弱点は開放F値の暗さです。望遠側はF7.1なので、夕方の室内や動く被写体では、ISOを上げることになります。従来の手軽な標準ズーム(24-50mm)は望遠50mm止まりで物足りなかったので、その代わりとしても勧めやすい1本です。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S:まず1本と言われたらこれ
24〜120mmの1本で、ほとんどの撮影ジャンルをまかなえます。どの焦点距離でも0.35mまで寄れるので、普段使いのズームにありがちな「寄れなくて困る」場面がほとんどありません。単焦点ほどではありませんが、望遠側で寄ればボケも使えます。
F2.8のズームより1段暗い代わりに、望遠側が50mm長い。この差は数字以上に大きく、旅行で「もう少し大きく写したい」と思う場面で、この50mmが効いてきます。外装は傷に強い細かな凹凸の仕上げですが、握るとなめらかで、S-Lineらしい作り込みを感じます。
Zマウントを使うなら、まず1本持っておきたい標準ズームです。24-70mm f/2.8 S IIとの違いは比較ページ、24-105mmとの違いはこちらにまとめています。
NIKKOR Z 28-75mm f/2.8:F2.8を身軽に
明るいF2.8のズームとしては、持ち運びが負担にならない重さです。解像は最高峰とまではいきませんが、この携帯性なら期待以上で、ズーム全域で四隅まで崩れません。
広角端が28mmであることも、実際にはほとんど不便にならず、24mm始まりのズームと同じ感覚で風景からスナップまで撮れます。F2.8と最短0.19mのおかげで、花に寄っても距離を気にせず構図を決められ、絞りでボケの量を思いどおりに調整できます。夜景では、F2.8通しの明るさでシャッター速度を稼げます。
気をつけたいのは、全体にシャープネスがやや甘めなことです。RAW現像で少しシャープを足すつもりでいると、仕上がりに満足できます。F2.8がほしいけれど、S-Lineの大三元には手が届きにくい人の最初の1本です。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II:見入ってしまう解像
少し絞れば、街並みの細部に見入ってしまうほどの解像感で、最上位の標準ズームらしい写りです。開放F2.8ではボケが自然でなめらかで、街のスナップや人物で力を発揮します。
望遠端の70mmでも0.33mまで寄れるので、画角はそのままで被写体に迫ってボケを使えます。約675gと先代より130g軽くなり、大三元としては持ち歩きやすくなりました。コントロールリングはクリックの有無を切り替えられるので、写真はクリックあり、動画は音と振動を避けてクリックなし、と使い分けるのがおすすめです。
28-75mmとの画角の差(広角側4mm、望遠側5mm)は、実際の撮影ではほとんど気にならない程度です。差が出るのは解像と重さで、違いは比較ページにまとめています。
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2:他社製ならこれ
F2.8通しとは思えない小ささですが、フルサイズのボディとの釣り合いは崩れません。木々の葉や岩肌のような細かな質感をよく描き分け、緑の自然やカラフルな街並みでも発色が優秀です。ニコンの堅実な色を崩さないところも好印象です。
フィルター径67mmはタムロンの多くのレンズと共通で、フィルターを使い回せます。純正の28-75mmと同じ焦点距離なので、写りの好みと価格で選べる関係です。
広角:17mmから、身軽に
NIKKOR Z 17-28mm f/2.8:F2.8の超広角を約450gで
約450gの小ささで、散策や旅先に気軽に連れ出せるのがいちばんの魅力です。ズームしても全長が変わらず重心が動かないので、手持ちでもジンバルでも構えが安定します。コントロールリングとズームリングのローレットの形が違い、指先だけで区別できるのも実用的です。
17mmで0.19mまで寄れるので、主題に大きく迫りながら背景を広く入れる、広角らしい撮り方ができます。28mmまでなので、標準ズームを24-120mmや24-70mmにしている人とは、広角側で重なりながら17mmまで広がる組み合わせになります。14mmまでほしいなら、NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sが候補です(17-28mmとの比較)。
望遠:空港で飛行機を撮るなら
旅客機を撮る航空写真の視点から、Zマウントの望遠4本を比べます。基準は、空港での撮りやすさです。
| レンズ | 焦点距離 | 質量 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| Z 28-400mm f/4-8 VR | 28-400mm | 725g | レンズ交換をしたくない、旅行も兼ねる |
| Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S | 100-400mm | 1,435g | 写りも動体への強さも妥協しない |
| TAMRON 50-400mm | 50-400mm | 1,155g | 50mmからの広い範囲を1本で |
| Z 400mm f/4.5 VR S | 400mm | 1,245g | 単焦点の解像がほしい |
質量はメーカーの公表値です(三脚座の扱いはレンズによって違います)。
NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S:空港でいちばん頼れる1本
三脚座を外すと約1,355gで、このクラスの望遠ズームとしては軽い部類です。望遠端の400mmでも、S-Lineの名に恥じない解像です。VRは400mmや遅めのシャッターでもブレを大きく抑え、飛行機や野鳥のような動くものに必要なAFも十分に備えています。
コントロールリングに絞りやISOを割り当てると、構えたまま素早く変えられます。一眼レフ時代の定番だった80-400mmに続く、ミラーレスの新しい王道です。ニコンらしい堅実さがあり、長く使える1本と言えます。180-600mmとの違いは比較ページをどうぞ。
NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR:2本分を1本に
400mmまで届くのに、標準ズームに近い携帯性です。約725gを重めと感じる人もいるかもしれませんが、標準ズームと望遠ズームの2本を持つよりずっと軽く小さく済みます。同じ場所から28mmと400mmを、レンズ交換なしで撮り分けられるのは、空港では大きな利点です。
角形のフードは前への張り出しが小さく、逆さに付けたままでもズーム全域を操作できるので、鞄から出してすぐ撮れます。倍率と携帯性を考えれば画質は非常に優秀ですが、専用の標準ズームや望遠ズームには及ばない部分もあります。広角端が24mmでなく28mmなのも、少しだけ妥協です(24-200mmとの比較)。
TAMRON 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD:50mmからの広い範囲
大きすぎず小さすぎず、さまざまな大きさのボディに釣り合う、ほどよい大きさの望遠ズームです。Z5IIと合わせると約1.9kgになりますが、望遠ズームに慣れた人ならむしろ軽く感じる重さです。高倍率でも全域で画質が高く、純正に見劣りしません。
純正に50-400mmという焦点域がないことも、このレンズを選ぶ理由になります。50mmまで引ければ、駐機場の機体を空港の建物ごと入れるような、少し広めの構図も撮れます。
NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S:単焦点の解像を持ち歩ける
400mmの単焦点としては片手で楽に持てる軽さで、望遠に慣れた人なら日常的に持ち出しても苦になりません。単焦点ならではの緻密な解像は、等倍で見るとよくわかります。特筆すべきは手ブレ補正で、ファインダーをのぞいた瞬間から効きがわかり、1/100秒を下回るような低速でなければブレは目立ちません。
ただ、400mm固定なので画角は変えられず、日常使いには向きません。Z5IIでも使えますが、このレンズの解像を生かしきるなら高画素機が向いています。180-600mmとの違いは比較ページをどうぞ。
単焦点:軽さと明るさ
Z5IIには、軽い単焦点もよく合います。ボディ内補正があるので、補正のない単焦点でも暗い場所で扱いやすいのが利点です。
NIKKOR Z 40mm f/2:いちばん身軽な組み合わせ
約170gで、ボディとの合計が約870gに収まります。標準より少し広い40mmは、日常の記録にちょうどよい画角です。24-120mm f/4 Sと比べると2段明るいので、同じシャッター速度ならISOを4分の1に抑えられます。
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S:S-Lineの標準単焦点
約415gの標準単焦点です。F1.8でボケを大きく使え、F4のズームより2段以上明るくなります。明るさをさらに求めるなら50mm f/1.4もあります(50mm f/1.4との比較)。
NIKKOR Z 85mm f/1.8 S:人物撮影の定番
約470gの中望遠単焦点で、人物の上半身を背景ごと大きくぼかせる画角です。さらに大きなボケを求めるなら85mm f/1.2 Sがありますが、重さも価格も大きく上がります(85mm f/1.2との比較)。
NIKKOR Z 26mm f/2.8:Z5IIを最も小さく
厚さ約24mm、約125gのパンケーキです。Z5IIを最も小さく持ち歩ける組み合わせで、ボディとの合計は約825gです。26mmの広めの画角は、街歩きのスナップや旅先の記録に向きます。
組み合わせ例(本体込みの重さ)
| 目的 | レンズ | 合計の重さ |
|---|---|---|
| いつも持ち歩く | Z 40mm f/2 | 約870g |
| 日常と旅行 | Z 24-105mm | 約1,050g |
| 風景の旅 | Z 17-28mm + Z 24-105mm | 約1,500g |
| 空港で1本 | Z 28-400mm | 約1,425g |
| 空港で本気 | Z 100-400mm + Z 24-105mm | 約2,485g |
空港で撮るなら「Z 100-400mm + Z 24-105mm」の組み合わせがおすすめです。100-400mmで機体を大きく、24-105mmで空港の風景と機体を一緒に撮れます。24-105mmは0.2mまで寄れるので、旅先の身の回りのものも撮れます。
よくある質問
Fマウントのレンズは使えますか
ニコン純正のマウントアダプター(FTZ II)を使えば、Fマウントのレンズを付けられます。すでに持っているレンズがあるなら、まずそれを試してから買い足すのが無駄のない方法です。
F4のズームとF2.8のズーム、結局どちらがいいですか
旅行や日常が中心ならF4(24-120mmか24-105mm)、室内の人物や夜のスナップ、ボケを重視するならF2.8(28-75mmか24-70mm)です。Z5IIはボディ内補正があるので、静止した被写体ならF4でも暗さはそれほど問題になりません。F2.8が効くのは、動く被写体を暗い場所で止めたいときと、背景を大きくぼかしたいときです。
Z5IIとZ6III、レンズ選びは変わりますか
付けられるレンズは同じです。Z6IIIは連写や動画の性能が上なので、100-400mmで動きものを追う機会が多いならZ6IIIのほうが力を発揮します(2機種の比較)。