子どもを撮るカメラは、スペック表の上位機が正解になるとは限りません。実際に困るのは、暗い室内でぶれること、動き回ってピントが合わないこと、そして重くて持ち出さなくなることの3つです。
この記事では、その3つに効くボディとレンズを1台・1本ずつ紹介します。数値はメーカーの公表値です。
結論
- まずAPS-Cの入門機で十分。350〜450gのクラスなら、子どもを抱えたままでも構えられます。
- キットレンズに加えて、明るい単焦点を1本。室内の写真はこれで変わります。F1.8クラスが150〜400g、価格も手が届きます。
- 運動会と発表会では望遠が要ります。使うのが年に数回でも、焦点距離が足りないと写真そのものが撮れません。
- バリアングル(横に開いて回る)モニターが効きます。低い位置から目線の高さで撮れます。
困る場面と、効く機能
| 困る場面 | 効くもの |
|---|---|
| 室内が暗くてぶれる | 明るいレンズ(F1.8以下)、大きいセンサー、ボディ内手ブレ補正 |
| 走り回ってピントが来ない | 瞳を検出して追うAF、連写 |
| 低い位置から撮れない | バリアングルまたはチルト式のモニター |
| 重くて持ち出さない | ボディ400g前後、レンズ200g前後 |
| 運動会で届かない | 望遠端200mm以上(APS-Cなら換算300mm以上) |
| 電池が切れる | 1回の充電で400枚以上、またはUSB給電 |
ボディの候補
| 機種 | 質量 | 連写(メカ) | 撮影可能枚数 | モニター |
|---|---|---|---|---|
| EOS R50 | 375g | 12コマ/秒 | 440枚 | バリアングル |
| EOS R10 | 429g | 15コマ/秒 | 430枚 | バリアングル |
| Z50II | 550g | 11コマ/秒 | 250枚 | バリアングル |
| α6400 | 403g | 11コマ/秒 | 410枚 | チルト |
| X-M5 | 355g | 8コマ/秒 | 440枚 | バリアングル |
| X-S20 | 491g | 8コマ/秒 | 800枚 | バリアングル |
連写の数字は「1秒間に何枚撮れるか」です。子どもの表情は8コマ/秒でも十分に追えます。それより、ピントが合い続けるかのほうが効きます。現行機はどれも人物の瞳を検出できるので、この点では大きく外しません。
EOS R50:いちばん気軽に持ち出せる
約375gと軽く、EOS R10より約54g軽いぶん、毎日の持ち出しが楽です。AFモードを自動で切り替えるAIフォーカスAFを備えていて、止まったり急に走り出したりする子どもを、AFモードで迷わずに撮れます。
本体に手ブレ補正はないので、室内では明るい単焦点か、補正付きのレンズと組み合わせてください。重い望遠を付けて動く子どもを追うと、小さいぶんグリップの浅さを感じやすくなります。
EOS R10:動きの多い子どもを追うなら
R50とセンサーや画像処理は共通で、違いは連写と操作性です。電子シャッターで最高23コマ/秒とR50より速く、決定的な瞬間を逃しにくくなります。マルチコントローラーとサブダイヤルでAF枠を素早く動かせるので、走り回る子どもにピントを置き直すのも快適です。握りが深く、運動会で望遠を付けても構えが安定します(EOS R10 と EOS R50 の比較)。
Z50II:ニコンのAPS-C
約550gと候補の中では重めですが、深いグリップで構えが安定します。バリアングルモニターで、低い位置から子どもの目線で撮れます。撮影可能枚数は250枚と少なめなので、長い行事では予備のバッテリーが要ります。
α6400:動きの読めない子どもにAFが強い
いちばんの強みはトラッキングAFで、動きの読めない被写体にも素早く正確についていきます。小さなボディで4K動画も撮れるので、写真と動画の両方を残したい人に向きます。約403gで、手のひらに載る小ささです。
本体に手ブレ補正はなく、バッテリーは大きくないので、1日の行事では予備があると安心です。モニターはチルト式で、上に大きく開けば自分撮りもできます。
X-M5:ポケットに入るほど平たい
ファインダーを省いたフラットな形で、約355gと富士フイルムの現行機で最も軽いカメラです。上着のポケットにも収まるので、公園や旅行に「とりあえず持っていく」ことができます。画質は上位機並みで、専用のダイヤルでフィルムシミュレーションをすぐ切り替えられるので、色を選ぶ楽しみもあります。
ファインダーがないので、晴れた屋外では背面モニターが見えにくくなることがあります。
X-S20:1日の行事でも電池を気にしない
撮影可能枚数800枚と、このクラスでは群を抜いています。さらに最大7段のボディ内手ブレ補正を持つので、暗い室内でもシャッター速度に余裕が出ます。約491gと候補の中では重めですが、一日中の行事で充電を気にしたくない場合は有力な候補です(X-T5 と X-S20 の比較)。
レンズ:まずこの1本
キットレンズは広角から中望遠までをカバーしますが、開放F値がF3.5〜6.3と暗く、室内では力不足です。単焦点を1本足すと写真が変わります。
| マウント | 候補 | 換算画角 | 開放 | 質量 |
|---|---|---|---|---|
| Canon RF(APS-C) | RF24mm F1.8 MACRO IS STM | 約38mm | F1.8 | 270g |
| Canon RF(表情を撮る) | RF50mm F1.8 STM | 約80mm | F1.8 | 160g |
| Nikon Z(APS-C) | NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 | 約36mm | F1.7 | 135g |
| Sony E(APS-C) | SIGMA 23mm F1.4 DC DN | 約35mm | F1.4 | 340g |
| 各社(表情を撮る) | SIGMA 56mm F1.4 DC DN | 約84mm | F1.4 | 285g |
| FUJIFILM X | XF23mmF2 R WR | 約35mm | F2 | 180g |
| FUJIFILM X(表情を撮る) | XF56mmF1.2 R WR | 約84mm | F1.2 | 445g |
換算35mm前後は「その場の様子ごと」、換算80mm前後は「顔と表情」を撮るのに向きます。最初の1本としては、部屋の中でも下がりきれる35mm相当のほうが扱いやすいことが多いです。
RF24mm F1.8 MACRO IS STM(Canon RF・換算約38mm)
R50やR10で室内の子どもを撮るなら、まず検討したい単焦点です。F1.8の明るさに加えてレンズ内に手ブレ補正があるので、本体に補正のないR50・R10の弱点を補えます。最短0.14mまで寄れて、最大0.5倍のハーフマクロとして小さな手や足のアップも撮れます。
RF50mm F1.8 STM(Canon RF・換算約80mm)
約160gと手のひらで隠れるほど小さく、F1.8で背景を大きくぼかせます。APS-Cでは80mm相当になるので、部屋の中では少し下がる必要がありますが、顔と表情を切り取るのに向きます。1本持っておく価値のある単焦点です。
NIKKOR Z DX 24mm f/1.7(Nikon Z・換算約36mm)
約135gの小さな単焦点で、Z50IIに付けても小さくまとまります。F1.7の明るさで、キットレンズより2段以上速いシャッターを切れます。部屋の様子ごと子どもを撮るのにちょうどよい画角です。
SIGMA 23mm F1.4 DC DN(Sony E・Canon RF・FUJIFILM X・Lマウント)
換算約35mmのF1.4で、約340gです。F1.8より2/3段ほど明るく、暗い室内でさらに余裕が出ます。α6400のように本体に補正がないカメラでも、明るさで速いシャッターを確保できます。
SIGMA 56mm F1.4 DC DN(各社・換算約84mm)
人物撮影の定番の画角(84mm相当)になる単焦点で、約285gと小さく、F1.4で背景を大きくぼかせます。発表会で少し離れた席から表情を狙うのにも使えます。
XF23mmF2 R WR(FUJIFILM X・換算約35mm)
約180gと軽く、防塵・防滴の単焦点です。X-M5やX-S20に付けても小さくまとまり、公園や旅行にも気軽に持ち出せます。
XF56mmF1.2 R WR(FUJIFILM X・換算約84mm)
F1.2の大きなボケで、子どもの表情を背景から浮かび上がらせられます。約445gと単焦点としては重めですが、最短0.5mまで寄れるので、顔のアップも撮れます。
ズーム1本で済ませたいなら
レンズ交換の手間を避けたい場合、F2.8通しの標準ズームという選択肢があります。どちらもキットレンズより2段ほど明るく、室内でも粘れます(この2本の比較)。
SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN(Sony E・Canon RF・FUJIFILM X・Lマウント)
約290gと軽く、キットレンズと同じくらいの大きさでF2.8を手に入れられます。最短0.121mまで寄れるので、食事やおもちゃのアップも撮れます。レンズに補正はないので、補正のないボディでは明るさを速いシャッターに回します。
TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD(Sony E・Nikon Z・FUJIFILM X・Canon RF)
換算約25-105mmをF2.8通しで撮れて、しかもレンズ内に補正(VC)があります。本体に補正のないα6400やX-M5には、この組み合わせがよく合います。約525gという数字ほどの重さを感じさせず、片手でも楽に撮れます。換算105mmまであるので、少し離れた子どもの表情も撮れます。
運動会・発表会
年に数回の行事では、望遠が必要になります。校庭で子どもを大きく写すには、APS-Cで換算300mm以上が目安です。
- 運動会:晴れた屋外なので、F5.6〜6.3の望遠ズームで足ります。詳しくは運動会の望遠レンズにまとめました。
- 発表会・屋内競技:暗いので、F2.8通しの望遠ズームか、明るい単焦点が要ります。ここが最も機材にお金がかかる場面です。
- 買う時期:行事の日程から逆算してください。本番に間に合わないセールを待つ意味はありません(安くなる時期)。
撮るときの設定
| 場面 | 設定の出発点 |
|---|---|
| 室内で遊んでいる | 絞り優先(A/Av)、F1.8〜2.8、ISOオート(上限6400) |
| 走り回っている | シャッター優先(S/Tv)、1/500秒、ISOオート、AF-C(コンティニュアス) |
| 寝顔・静かな場面 | 絞り優先、F2前後、電子シャッター(音が出ません) |
| 運動会 | シャッター優先、1/1000秒、連写、AF-C |
迷ったら、ISO感度はオートにして上限を6400に設定し、シャッター速度だけ意識してください。子どもが動いている場面では、1/250秒より速くします。
よくある質問
スマートフォンで足りませんか
明るい場所で、近くで撮るぶんには十分です。差が出るのは、暗い室内、離れた場所、そして背景をぼかしたいときです。運動会と発表会をきっかけにカメラを買う人が多いのは、そのためです。
フルサイズにすべきですか
暗い室内では有利ですが、レンズを含めると重さと価格が倍近くになります。持ち出さなくなるほうが損失が大きいので、まずAPS-Cで始めて、明るいレンズにお金をかけるほうをおすすめします。
シャッター音が気になります
電子シャッターを使えば無音にできます。発表会や寝顔を撮るときに便利です。ただし、動きの速い被写体では像がゆがむことがあります。
写真の保存はどうすればいいですか
カードは壊れます。撮った日のうちにパソコンか外付けドライブに移し、さらにクラウドか2台目のドライブに置いてください。子どもの写真は撮り直しがききません。



