α7 IVは、尖った性能で勝負するカメラではなく、何を撮っても高い水準でまとまるバランスの良いカメラです。風景、飛行機、夜景と被写体を選ばず、夜景ではISO3200前後までノイズがほとんど気にならず、6400〜12800も実用の範囲です。動く被写体は、トラッキングAFに追従をすっかり任せられます。
ボディがこれだけ何でもこなせると、写真の方向を決めるのはレンズです。Eマウントはレンズの選択肢が多いぶん、迷いやすいマウントでもあります。この記事では、α7 IVに合うレンズを用途別に選びました。標準ズームは5本を並べて比べ、広角・望遠・単焦点・マクロは定番から選んでいます。仕様の数値はメーカーの公表値です。
結論:目的別の1本
| やりたいこと | 選ぶレンズ | 質量 | 本体込み |
|---|---|---|---|
| 風景と旅行を1本で | FE 24-105mm F4 G OSS | 663g | 約1,321g |
| 写りに妥協しない標準ズーム | FE 24-70mm F2.8 GM II | 695g | 約1,353g |
| 広く撮りたい、軽くしたい | FE 20-70mm F4 G | 488g | 約1,146g |
| 望遠と接写を1本で | FE 70-200mm F4 Macro G OSS II | 794g | 約1,452g |
| 人物を撮る | FE 85mm F1.4 GM II | 642g | 約1,300g |
本体の質量は約658g(メーカー公表値)で計算しています。
α7 IVのレンズ選びで押さえたいこと
ボディ内手ブレ補正があるので、レンズの補正は必須ではない
α7 IVは5.5段分のボディ内手ブレ補正を備えています。レンズに補正(OSS)がない明るい単焦点やF2.8ズームでも、手持ちで使いやすいのが強みです。望遠では、レンズの補正と組み合わせるとさらに安定します。
3300万画素は、レンズの差が出る画素数
画素数が上がると、レンズの解像の差が写真に出やすくなります。FE 24-70mm F2.8 GM IIのような高解像のレンズなら、画面の隅まで細部が描かれ、3300万画素を生かしきれます。ただし、差がわかるのは大きくプリントしたり拡大したりしたときで、画面で見るだけなら、手頃なレンズでも十分きれいに写ります。
記録メディアは当面SDで
α7 IVのカードスロットはCFexpress Type Aにも対応していますが、2つめのスロットは非対応です。2枚同時に記録するならSDカードが中心になります。連写を多用する望遠撮影では、書き込みの速いSDカードを選んでください。
標準ズーム:5本の選び方
α7 IVでいちばん迷うのが標準ズームです。焦点距離、明るさ、重さの組み合わせが5本それぞれ違うので、何を優先するかで選ぶ1本が決まります。
| レンズ | 焦点距離 | 開放F値 | 質量 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| FE 24-105mm F4 G OSS | 24-105mm | F4 | 663g | 風景と旅行、望遠側がほしい |
| FE 24-70mm F2.8 GM II | 24-70mm | F2.8 | 695g | 写りに妥協しない |
| FE 20-70mm F4 G | 20-70mm | F4 | 488g | 広角側を広く、軽く |
| FE 28-70mm F2 GM | 28-70mm | F2 | 918g | 人物と動画を1本で |
| TAMRON 28-75mm G2 | 28-75mm | F2.8 | 540g | F2.8を軽く手頃に |
FE 24-105mm F4 G OSS:F2.8が必須でないならこれ
GMシリーズを思わせる光沢のある外観で、スイッチはAF/MFと手ブレ補正の2つだけと分かりやすい作りです。105mmまで届くので、70mm止まりのGMの標準ズームより望遠側に余裕があります。
歪曲がよく抑えられ、隅々まで精細に解像します。動く被写体にもボディの被写体認識と連携してすぐにピントが合い、ピントの精度も確かです。レンズの補正は望遠側で特に効き、1/15秒のような遅いシャッターでも手持ちで撮れる場面があります。際立った個性はありませんが、弱点らしい弱点もなく、とても使いやすいレンズです。
F2.8が必須でなければ、105mmまで使えて価格も抑えめのこのレンズを、24-70mm GM IIより先に検討する価値があります。2本の違いは比較ページをどうぞ。
FE 24-70mm F2.8 GM II:α7 IVと相性が抜群
高級ズームらしい大きさや重さを感じさせず、GMを普段使う人にはいっそう持ち出しやすくなっています。全焦点域で画面の隅まで鋭く解像し、単焦点に見劣りしません。夏の日差しのような強い明暗差の中でも階調が豊かで、細部の質感まで描きます。
緑、青空、夕焼けのどれを撮っても見入る発色で、α7 IVとの相性は抜群です。全域F2.8なので、寄ると背景が自然にぼけ、スナップにも使えます。太陽を画面に入れた逆光でもフレアやゴーストが少なく、コントラストの高いクリアな写りを保ちます。
初代よりも小さく軽く、解像も上回ります。各社の24-70mm F2.8の中でも、写りと持ち歩きやすさの両立が際立つ1本です。
FE 20-70mm F4 G:広角端の4mmが効く
広角端が24mmや28mmの標準ズームでは広角端を持て余しがちな人でも、20mmからなら広角端の出番がぐっと増えます。数字ではわずか4mmの差でも、写る範囲の違いは大きく、水平方向の画角で比べると24mmの約74°に対して20mmは約84°です。
70mmまであるので、風景、人物、スナップを1本でまかなえます。約488gと軽く、持ち歩いても苦になりません。ピント合わせ、ズーム、絞りをそれぞれ別のリングで操作できるので扱いやすく、被写体に寄る撮影も得意です。24-105mmとの違いは比較ページをどうぞ。
FE 28-70mm F2 GM:F2通しで人物と動画を
F2通しでも約918g、全長約140mmに収まり、ほかの大口径の標準ズームよりずっと扱いやすい大きさです。AFは速く正確で静かで、瞳AFとの組み合わせでも追従が確かです。ピントの薄いF2では、この精度が成功率に直結します。開放F2から周辺まで解像し、ボケは滑らかで自然です。
絞りリングは動画で重宝し、フォーカスホールドのボタンが2か所にあるので縦位置でも横位置でも押しやすい作りです。フィルター径86mmはやや大きいものの、F2を得るためには避けられない大きさと納得できます(24-70mm GM IIとの比較)。
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2:F2.8を手頃に
F2.8通しとは思えない小ささで、α7 IVとの釣り合いも崩れません。山の木々や岩肌のような細かな質感をよく描き分け、緑の自然やカラフルな街並みでも発色が優秀です。約540gと、純正のGM IIより150g以上軽いのも魅力です。フィルター径67mmはタムロンの多くのレンズと共通です(24-70mm GM IIとの比較)。
広角:16mmから
FE PZ 16-35mm F4 G:軽くて、動画にも強い
約353gで、手に取ってまず感じるのは「とにかく軽い」ことです。晴天、逆光、夜景、室内と、条件を選ばず使える広角ズームです。
電動ズームなので全長が変わらず、画角を変えても構えが安定します。ズームレバーを使えば、ビデオカメラのように一定の速さでゆっくりズームでき、動画で便利です。写真でも細かな画角合わせに使え、リングを回さないぶん構えがぶれにくくなります。GMには及びませんが、この軽さでズーム全域・画面の隅までくっきり解像し、AFは作動音がまったく気にならず正確で素早く、不満のない仕上がりです。
電子制御のズームリングは、普通のズームリングと操作感が違うので、慣れが必要です。
FE 16-25mm F2.8 G:F2.8の広角を約409gで
F2.8通しで約409gと小さく軽く、長く撮り続けても疲れにくいレンズです。小型ながら3本のリングとスイッチ類を備え、ワイド端はAFで0.18mまで寄れるので、風景から身近な接写までこなせます。F2.8が必要な星空や夜の街なら、こちらが候補です(16-35mm GM IIとの比較)。
望遠:70-200mmの3本と、飛行機・野鳥の超望遠
FE 70-200mm F4 Macro G OSS II:望遠と接写を1本で
小型のαと組んでも重さのバランスがまとまり、長く手持ちしても疲れにくいレンズです。伸び縮みするタイプですが、ズームロックがあるので移動中に伸びる心配はありません。DMFスイッチ、レンジリミッター、3か所のホールドボタンで、ファインダーをのぞいたまま設定を変えられます。
最大の魅力は、ズーム全域で0.5倍まで寄れることです。広角側は下がれない場所での接写に、望遠側は距離を取れるので、逃げやすい昆虫や、自分の影が落ちてしまう花に向きます。解像と柔らかいボケを両立し、AFは動くものにも頼れる水準です。風景やスポーツから、草花の接写、物撮りまで、1本で済ませたい人に向きます。
FE 70-200mm F2.8 GM OSS II:空港で生きるインナーズーム
初代とほぼ同じ大きさのまま大幅に軽くなり、撮影中の負担が明らかに減りました。
空港では、展望デッキの金網に鏡筒を寄せて撮ることがあります。全長が変わらないインナーズームなら、画角を変えても金網との距離が一定のままで、三脚を使った長時間露光では特に楽です。伸び縮みするレンズでは、画角を変えるたびに金網との距離を確かめ直す必要があります。
動く旅客機でも、シャッターを半押しした直後から合焦が途切れず、急なチャンスにもすぐ応えます。逆光でも霞みにくく、逆光を積極的に使いたくなる写りです。解像も妥協がなく、下位のレンズとの差は質感と白の描写に特に出ます。
弱点は、しまったときの大きさです。伸び縮みするタイプのレンズより長いままなので、バッグの収まりでは劣ります。F4 Macroとの違いは比較ページをどうぞ。
TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2:F2.8を細身で
このクラスとしては驚くほど小さく軽く、手ブレ補正(VC)が付いても初代並みの携帯性です。中心から周辺まで解像が落ちず、隅々までくっきり撮りたい風景にも向きます。静止した被写体なら、150mm前後で1/20秒ほどの遅いシャッターでもブレが大きく減り、ISOを上げすぎずに済みます。
注意したいのは流し撮りです。流し撮り用の補正モードがなく、1/60秒前後で流すと、背景が止まって被写体の側がブレることがあります。飛行機の流し撮りが多い人は、この点を知っておいてください。画質は初代を大きく上回り、AFのまま広角端で0.3mまで寄れるのも便利です(初代との比較)。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS:飛行機・スポーツに
解像に加えて、フレアやゴーストへの強さ、発色まで質の高さを感じるレンズです。ズーム全域で周辺減光が気にならず、画面の隅まで解像が保たれます。400mmの望遠端は、機体の一部を切り取ったり、圧縮効果を生かした迫力あるアップに効きます。α7 IVのトラッキングAFと組み合わせれば、動く飛行機の追従をカメラに任せきれます。
携帯性が高いとは言えませんが、同じクラスの超望遠ズームの中では軽い部類で、キヤノンの定番EF100-400mm L IIと比べても軽く仕上がっています。飛行機や鉄道、車、スポーツなど動く被写体を撮る人には、背伸びしてでも選ぶ価値のある、長く使える1本です。
TAMRON 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD:50mmからを1本で
50mmからの広い範囲を1本でまかなえ、高倍率ながら全域で画質が高く、純正に見劣りしません。約1,155gで、α7 IVと合わせても約1.8kgと2kgに届かない重さは、望遠ズームに慣れた人ならむしろ軽く感じるはずです。
単焦点:人物とスナップ
FE 85mm F1.4 GM II:85mm F1.4とは思えない扱いやすさ
手に取るとまず軽さと小ささに驚く、85mm F1.4とは思えないほど扱いやすいレンズです。開放F1.4から中心〜周辺までシャープで、ボケも素直、被写体が立体的に浮かびます。絞りリングと2か所のホールドボタンで、縦位置の人物撮影でも操作しやすい作りです。
SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art:開放からの解像で選ぶなら
いちばんの特長は、開放F1.4からの解像です。色のにじみ(軸上色収差)が抑えられ、ピントの合った面は鋭いまま、大きなボケとの対比で人物が際立ちます。11枚の絞り羽根で、背景の水面のきらめきや電飾も柔らかく丸くぼけます。AFは速く静かで、顔や瞳を確実に追います。
FE 85mm F1.4 GM IIとはほぼ同じ重さ(630gと642g)なので、選ぶ決め手は写りの好みと価格です。違いは比較ページにまとめています。
FE 35mm F1.4 GM:毎日持ち歩ける大口径
手にするとF1.4とは思えない小ささで、ボディに付けても大口径だと意識させない軽快さです。開放でも周辺までシャープで、ボケは柔らかく自然です。AFのまま0.27mまで寄れるのも魅力です。絞りリングのクリックは、写真ではオン、動画ではオフに切り替えるのがおすすめです。手頃なFE 35mm F1.8(約280g)との違いは比較ページをどうぞ。
FE 50mm F1.8:予算を抑えるなら
約186gの小さな標準単焦点で、α7 IVに付けても全体が小さくまとまります。F1.8で背景をぼかす写真を手軽に始めるなら、最初の単焦点に向いています。キットの28-70mm(望遠端F5.6)と比べると3段以上明るく、ボケの大きさも暗い場所での余裕も別物です(FE 50mm F1.4 GMとの比較)。
マクロ:花や小物を等倍で
TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD:最新の「タムキュー」
1979年の初代から続く「タムキュー」の最新型です。描写の切れとボケの美しさは、歴代のタムキューに期待されてきたとおりで、長年の愛用者でも満足できる進化を遂げています。スライド窓付きのフードを使えば、フードを付けたままPLやNDなど回して使うフィルターを操作できます。等倍まで寄れる90mmは、花や小物を背景から切り離して撮るのに向きます。
組み合わせ例(本体込みの重さ)
| 目的 | レンズ | 合計の重さ |
|---|---|---|
| 身軽なスナップ | FE 35mm F1.8 | 約938g |
| 軽い旅行 | FE 20-70mm F4 G | 約1,146g |
| 風景の旅 | FE PZ 16-35mm + FE 24-105mm | 約1,674g |
| 人物 | FE 35mm F1.4 GM + FE 85mm F1.4 GM II | 約1,824g |
| 空港・スポーツ | FE 100-400mm GM + FE 24-105mm | 約2,716g |
「風景の旅」は、軽い広角ズームと望遠側の長い標準ズームを組み合わせて、16mmから105mmまでを2本でまかなう組み合わせです。重なる範囲が24〜35mmと小さく、無駄のない2本になります。
よくある質問
キットの28-70mmは手放したほうがいいですか
手放さなくてかまいません。約300gと軽いので、荷物を減らしたい日の1本として残す価値があります。最初に足すなら、キットと画角の重ならない広角(PZ 16-35mm)か望遠(70-200mm F4 Macro)がおすすめです。
α7 IVとα7C II、レンズ選びは変わりますか
付けられるレンズは同じです。α7C IIは小型のぶん、重いレンズを付けると前が重くなりやすいので、20-70mm F4 GやFE 35mm F1.4 GMのような軽めのレンズが特によく合います(2機種の比較)。
α7 IIIから買い替えます。レンズも替えるべきですか
レンズはそのまま使えます。α7 IVは画素数が上がった(約2420万→約3300万画素)ぶん、レンズの解像の差が見えやすくなります。まずは手持ちのレンズで撮ってみて、解像に物足りなさを感じたレンズから替えていくのが無駄のない順番です(α7 IIIとの比較)。