α6400とα6700は、同じEマウントのAPS-C機です。付けられるレンズはまったく同じですが、選び方は同じではありません。α6400には本体の手ブレ補正がなく、α6700には5段分の補正があるからです。同じレンズでも、α6400ではブレやすく、α6700では気にならない、ということが起きます。
この記事では、2機種それぞれに合うレンズを用途別に選びました。数字の比較に加えて、写りや操作のくせ、どちらのボディと組むと生きるかまで書いています。仕様の数値はメーカーの公表値です。
結論:目的別の1本
| やりたいこと | α6400なら | α6700なら |
|---|---|---|
| キットより広く撮りたい | SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN(260g、換算15-27mm) | |
| 1本で旅行したい | TAMRON 18-300mm(補正付き) | E 18-135mm(325g) |
| 明るい標準ズームがほしい | TAMRON 17-70mm F2.8(補正付き) | SIGMA 18-50mm F2.8(290g) |
| 背景をぼかしたい | SIGMA 17-40mm F1.8 DC | Art、またはSIGMA 56mm F1.4 | |
| 遠くを大きく写したい | E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS(換算105-525mm) | |
表の分かれ目は手ブレ補正です。α6400では、補正を持つレンズ(TAMRONの「VC」、ソニーの「OSS」)を優先すると失敗が減ります。α6700なら、補正のない明るいレンズも気にせず選べます。
選ぶ前に知っておきたいこと
焦点距離は1.5倍して考える
どちらもAPS-Cサイズのセンサーなので、レンズの焦点距離の約1.5倍の画角で写ります。キットの16-50mmは24-75mm相当、フルサイズ用の70-200mmは105-300mm相当です。
α6700の手ブレ補正は、レンズ選びを変えるほど効く
α6700のボディ内補正は、APS-C機の中でも際立って効きます。動かない被写体なら、広角側で1秒近い遅いシャッターでも手持ちで止められる場面があるほどです。1/10秒のような遅いシャッターで動く被写体を流し撮りしても、成功する確率が高くなります。
ここまで効くと、レンズ側に補正がない明るい単焦点やSIGMAのズームでも、暗い場所で困りません。一方、α6400は本体に補正がないので、同じレンズでも速いシャッターを保つ必要があります。この差が、この記事の選び分けの軸です。
フルサイズ用(FE)のレンズもそのまま付く
Eマウントには、APS-C用(E)とフルサイズ用(FE)のレンズがあり、どちらもα6400・α6700に付きます。APS-C用は小さく軽く、FEは大きめですが、将来α7シリーズに移っても使い続けられます。純正とサードパーティーを合わせたレンズの選択肢の多さは、長く続けるうえで心強い点です。
広角:キットの24mm相当より広く
SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN:最初に足すならこれ
換算15-27mmで、キットの16-50mmとつながる広角ズームです。小柄なα6700に付けてもレンズのほうが一回り小さく見えるほどで、重さ(約260g)も気にならず、つい持ち出したくなります。
15mm相当の広さは、キットでは出せない表現です。ズームのどこでも解像が安定していて、風景を等倍に拡大しても不満のない写りです。この大きさと価格でここまで写るのは驚きです。ワイド端で足元の草花に寄り、開放F2.8で撮るとボケも生きます。高級レンズと同じとまでは言いませんが、キットの次の1本としては満足度の高いレンズです。
レンズに手ブレ補正はありません。α6700なら問題になりませんが、α6400で夜景を撮るときは、F2.8の明るさで速いシャッターを保つ使い方になります。
TAMRON 11-20mm F2.8 Di III-A RXD:α6700と組む明るい広角
換算16.5-30mmのF2.8通しの広角ズームで、α6700に足す広角として有力な1本です。高層ビルを見上げる構図でも四隅まで中央と大差なく解像し、太陽を画面に入れた逆光でもフレアやゴーストが出にくいレンズです。約335gです。
SIGMA 10-18mmと比べると、広角端はわずかに狭く、望遠端は少し長くなります。どちらもレンズに補正はないので、ボディ内補正のあるα6700のほうが組み合わせやすい2本です。違いは比較ページにまとめています。
E PZ 10-20mm F4 G:軽さと動画を取るなら
ソニー純正の、約178gと軽い電動ズームです。ズームしても全長が変わらず、動画でもなめらかに画角を変えられるので、Vlogや動画も撮る人に向きます。明るさはF4で、F2.8の2本より1段暗くなります。そのぶん3本の中ではいちばん軽く、α6400に付けても負担になりにくい重さです。TAMRONとの違いは比較ページで確かめられます。
1本で済ませる:高倍率ズーム
E 18-135mm F3.5-5.6 OSS:α6700なら、まずこれ
換算27-202mmで、日常から旅行までをこれ1本で撮れるズームです。まず目立つのは約325gという軽さで、α6700との収まりが良く、1日持ち歩いても負担になりません。広角端から望遠端まで写りが安定していて、AFは静かで速く、望遠側で動く飛行機もしっかり捉えます。駆動音が小さいので動画にも向きます。
レンズの補正(OSS)とα6700の補正が一緒に働く組み合わせで、先に書いた遅いシャッターでの手持ち撮影は、この組み合わせならではの強みです。「高倍率ズームは写りが落ちる」という昔のイメージは当てはまりません。
TAMRON 18-300mm F3.5-6.3 VC:遠くまで1本で(α6400にも)
換算27-450mmまで届く高倍率ズームで、レンズ内に手ブレ補正(VC)を持っています。本体に補正のないα6400でも、望遠側で補正が効くのが大きな利点です。
驚くのは画質で、18mmから300mmまでどの焦点距離でも解像が安定しています。昔の高倍率ズームのように、絞り込んだり広角側を避けたりする工夫が要りません。周辺減光も全域で少なく、高倍率ズームとしては革命的と言える出来です。望遠側でもAFは速く迷わず、動く飛行機にもしっかりピントが合います。
約620gですが、片手で持ち運べて、α6000シリーズに合う大きさです。広角側では最短15cmまで寄れるので、ハーフマクロのような撮り方もできます。気になる点は、18mmで水平線がわずかに曲がることくらいです。
標準ズームを明るくする
キットの16-50mmは望遠側でF5.6です。F2.8のズームにすると2段明るくなり、室内や夕方でもシャッター速度を4倍速くできます。
TAMRON 17-70mm F2.8 VC:α6400ならこれ
換算25.5-105mmで、F2.8通しのうえに手ブレ補正(VC)を持つ、α6400のためにあるようなレンズです。
約525gという数字ほどの重さを感じさせず、片手でも楽に撮れます。ズームリングの重さが絶妙で、初めてでも数mm単位の画角合わせのコツがすぐにつかめます。換算105mmまであるので、街歩きならレンズ交換がいりません。F2.8通しの明るさは、ボケと暗い場所で効いてきます。
欠点は大きさです。小さなボディに付けると、レンズのほうが大きく見えるほどです。ただ、撮影中に邪魔になるほどではありません。
SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN:キットと同じ大きさでF2.8
換算27-75mmで、約290gと軽く、キットと同じくらいの大きさでF2.8を手に入れられます。レンズに補正はないので、ボディ内補正のあるα6700と組むと力を発揮します。α6400で使うなら、暗い場所ではF2.8の明るさを速いシャッターに回すのが基本です。
E 16-55mm F2.8 G:純正で広角側も広く
ソニー純正のF2.8通しの標準ズームで、換算24-82.5mmです。約494gで、広角端が16mmからと、SIGMAより少し広く撮れます。α6700に合わせる明るい標準ズームの、もう1つの選択肢です。3本の違いは、E 16-55mmとSIGMA 18-50mm、E 16-55mmとTAMRON 17-70mmの比較ページで確かめられます。
背景をぼかす:F1.8のズームと単焦点
SIGMA 17-40mm F1.8 DC | Art:単焦点を何本も持つ代わりに
ズーム全域F1.8という、F2.8よりさらに明るいズームです(換算25.5-60mm)。40mm・開放F1.8のボケは大きく美しく、それでいて開放から細かな質感まで描きます。暗い室内や夜景にも強いレンズです。
前の世代の18-35mm F1.8より焦点域が広がったうえに、大幅に小さく軽くなりました。ズームしても全長が変わらないので構えたときのバランスが保たれ、前玉が回らないのでPLフィルターも使いやすい。AFは静かで速く、浅いピントでも迷わないので、人物の一瞬を逃しにくいレンズです。絞りリングにはロックがあり、AFLボタンも2つあります。
約535gで、α6400(約403g)より重いレンズです。明るい単焦点を何本も持ち歩く代わりの1本と考えると、重さにも納得がいきます。
SIGMA 12mm F1.4 DC:明るい超広角単焦点(換算18mm)
F1.4の超広角とは思えないほど小さく(約250g)、荷物を減らしたい旅行にも持ち出せます。絞りリングで、ファインダーをのぞいたまま左手で絞りを変えられるのも快適です。開放から画面の周辺まで解像が高く、超広角にF1.4のボケが加わって、主題が立体的に浮かびます。
F2.8の広角ズームより2段明るいので、星空や夜景ではISOを4分の1に抑えられます。α6400のように本体に補正がないボディでも、明るさで速いシャッターを確保しやすい1本です。
SIGMA 16mm F1.4 DC DN:F1.4の広角単焦点(換算24mm)
キットの広角端と同じ24mm相当を、F1.4の明るさで撮れる単焦点です。F7.1〜8に絞った風景では四隅まで歪みを感じさせずに解像し、開放F1.4なら何気ない場面でも簡単にボケを作れます。
ただ広角単焦点としては大柄(約415g)で、レンズにAF/MFの切り替えスイッチがない点は、最初は戸惑うかもしれません。小ささを取るなら12mm、24mm相当の見慣れた画角を明るく撮りたいなら16mm、という選び分けです。
SIGMA 56mm F1.4 DC DN:人物を撮るなら(換算84mm)
APS-C用の単焦点で、人物撮影の定番の画角(84mm相当)になります。約285gと小さく、F1.4で背景を大きくぼかせます。α6000シリーズで人物を撮るなら、最初に検討したい1本です。同じシリーズの30mm F1.4(換算45mm)と組み合わせれば、標準と中望遠の明るい単焦点が2本そろいます。
望遠:キットの55-210mmの先へ
E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS:純正のAPS-C用で最も遠くまで
換算105-525mmで、ダブルズームキットの55-210mm(換算82.5-315mm)より大きく写せます。約625gで、レンズ内に補正(OSS)があるので、α6400でも使いやすい望遠です。ソニー純正のAPS-C用レンズでは、最も遠くまで届く1本です。55-210mmとの違いは比較ページにまとめています。
FE 70-200mm F4 Macro G OSS II:望遠と接写を1本で
フルサイズ用ですが、α6000シリーズでは105-300mm相当になります。ズーム全域で0.5倍まで寄れるのが最大の特徴です。広角側は下がれない場所での接写に、望遠側は距離を取れるので、逃げやすい昆虫や、自分の影が落ちてしまう花の撮影に向きます。解像は高く、ボケは柔らかく、AFは動くものにも頼れる水準です。
約794gと、α6400(約403g)の2倍近い重さがあります。α6700のほうが握りが深いので、組み合わせるならα6700がおすすめです。
組み合わせ例(本体込みの重さ)
| 目的 | ボディとレンズ | 合計の重さ |
|---|---|---|
| 身軽な旅行 | α6700 + E 18-135mm | 約818g |
| 風景を広く | α6700 + SIGMA 10-18mm + キットのE PZ 16-50mm II | 約860g |
| 遠くまで1本で | α6400 + TAMRON 18-300mm | 約1,023g |
| ボケ重視の日常 | α6400 + SIGMA 17-40mm F1.8 | 約938g |
| 野鳥・飛行機 | α6700 + E 70-350mm | 約1,118g |
本体の質量は、α6400が約403g、α6700が約493gです(メーカー公表値)。キットの16-50mmは世代によって重さが違い、α6700のキットのII型は約107gです。
よくある質問
α6400とα6700、レンズ選びで一番違うのはどこですか
手ブレ補正です。α6400では、夜や望遠で補正付きのレンズが効いてきます。α6700は本体の補正が強力なので、補正のない明るいレンズでも暗い場所で困りにくいです。もう1つ、α6700は大きなバッテリー(NP-FZ100)を使うため、α6400より電池が長く持ちます。1日撮ると差ははっきり出ます(2機種の比較)。
キットの16-50mmは手放したほうがいいですか
手放す必要はありません。100g少々と驚くほど小さいので、広角ズームや単焦点を主に使うようになっても、荷物を減らしたい日の1本として残しておく価値があります。
フルサイズ用のFEレンズを選ぶ利点はありますか
将来α7シリーズに移るなら、レンズをそのまま使えます。ただしAPS-C用より大きく重いものが多いので、当面APS-Cで楽しむなら、この記事で挙げたAPS-C用のレンズのほうが身軽です。