Z50IIとZ fcは、ニコンのAPS-C(ニコンの呼び方ではDX)のカメラです。同じ2088万画素のセンサーとZマウントを使っていて、付けられるレンズもまったく同じです。Z50IIは深いグリップと新しい画像処理エンジンで、動く被写体に強い実用機。Z fcはダイヤルの並ぶクラシックな外観で、約445gと軽いカメラです。
2機種に共通するのは、本体に手ブレ補正がないことです。この記事では、その前提でレンズを用途別に選び、どのレンズでブレを防ぐか、どのレンズで明るさを稼ぐかを書いています。仕様の数値はメーカーの公表値です。
結論:目的別の1本
| やりたいこと | 選ぶレンズ | 質量 | 35mm判換算 |
|---|---|---|---|
| キットの次の標準ズーム | NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR | 330g | 24-75mm |
| 1本で旅行 | NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR | 315g | 27-210mm |
| 広い景色と自撮り | NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR | 205g | 18-42mm |
| 運動会・動物・飛行機 | NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR | 405g | 75-375mm |
| 背景をぼかす・寄って撮る | NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7 | 220g | 52.5mm |
本体の質量はZ50IIが約550g、Z fcが約445gです(メーカー公表値)。
Z50II・Z fcでレンズを選ぶ前に
焦点距離は1.5倍して考える
DXのセンサーなので、レンズの焦点距離の約1.5倍の画角で写ります。キットの16-50mmは24-75mm相当、50-250mmは75-375mm相当です。
ボディに手ブレ補正がないので、VR付きのレンズが効く
手ブレを抑えられるかどうかは、レンズ次第です。ニコンのレンズでは名前に「VR」、TAMRONでは「VC」と付くものに補正があります。夕方以降の街や室内、望遠では、VR付きのレンズを選ぶと失敗が減ります。
一方、明るい単焦点の多くには補正がありません。その代わりF1.7やF1.4の明るさで、シャッター速度を速く保てます。補正のないレンズでは、シャッター速度を「焦点距離×1.5」分の1秒より速くするのが目安です。24mmの単焦点なら1/40秒、動く人を撮るなら1/250秒くらいを保ってください。
FX(フルサイズ用)のレンズもそのまま付く
Zマウントのフルサイズ用レンズも、そのまま付けられます。DX用より大きく重いものが多い代わりに、将来フルサイズのZシリーズに移っても使い続けられます。小さなFXの単焦点には、DX機に付けてもちょうどよい大きさのものがあります。
標準ズーム:キットの次に
NIKKOR Z DX 16-50mm f/2.8 VR:F2.8とVRを1本で(換算24-75mm)
2025年に登場した、ズーム全域F2.8のDX用標準ズームです。約330gと軽く、レンズ内に補正(VR)も備えています。ボディ内補正のないZ50IIやZ fcにとって、明るさと補正を1本で両立できるのは大きな意味があります。キットの16-50mm(望遠端F6.3)と比べると、望遠端で2段以上明るく、室内や夕方でもシャッター速度を4倍以上速くできます。
最短0.15mまで寄れるので、テーブルの上の料理や小物も撮れます。キットの16-50mm f/3.5-6.3(約135g)は驚くほど小さいので、荷物を減らしたい日の1本として残しておく価値があります(2本の比較)。
TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD:望遠側まで長く(換算25.5-105mm)
F2.8通しのまま、105mm相当まで届く標準ズームです。こちらもレンズ内に補正(VC)があります。約525gという数字ほどの重さを感じさせず、ズームリングの重さが絶妙で、数mm単位の画角合わせのコツもすぐにつかめます。換算105mmまであるので、街歩きならレンズ交換がいりません。
欠点は大きさで、小さなボディに付けるとレンズのほうが大きく見えます。軽さを取るならZ DX 16-50mm f/2.8、望遠側の長さを取るならこちらです。握りの深いZ50IIのほうが、構えたときの釣り合いは取りやすいはずです。
1本で済ませる:高倍率ズーム
NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR:軽い旅行用(換算27-210mm)
約315gで、広角から中望遠までをこれ1本でまかなえます。補正(VR)付きで、最短0.2mまで寄れて最大0.33倍の接写もできるので、旅先の料理や小物も撮れます。Z fcに付けても小さくまとまり、旅行でレンズ交換をしたくない人にいちばん合う1本です。
TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD:遠くまで1本で(換算27-450mm)
450mm相当まで届く、16.7倍の高倍率ズームです。18mmから300mmまでどの焦点距離でも解像が安定していて、昔の高倍率ズームのように絞り込んだり広角側を避けたりする工夫が要りません。周辺減光も全域で少なく、望遠側でもAFは速く迷いません。補正(VC)付きです。
約620gで、広角側では最短15cmまで寄れます。気になる点は、18mmで水平線がわずかに曲がることくらいです。運動会と旅行の両方を1本でこなしたい人に向きます。
広角:18mm相当から
NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR:広角と動画を軽く(換算18-42mm)
約205gの電動ズーム(PZ)で、補正(VR)付きです。18mm相当の広さは、キットでは入りきらない景色や狭い室内で効きます。電動ズームなので、動画でもなめらかに画角を変えられます。腕を伸ばした自撮りでも、顔と背景をほどよく入れられる広さです。
SIGMA 16mm F1.4 DC DN:F1.4の広角単焦点(換算24mm)
24mm相当は、スマートフォンや標準ズームの広角端と同じ見慣れた画角です。F7.1〜8に絞った風景では四隅まで歪みを感じさせずに解像し、開放F1.4なら何気ない場面でも簡単にボケを作れます。明るさで速いシャッターを保てるので、補正のないボディでも夜の街に強いレンズです。
ただし広角単焦点としては大柄(約415g)で、レンズにAF/MFの切り替えスイッチがないので、最初は戸惑うかもしれません。
望遠:375mm相当から600mm相当まで
NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR:まずこの1本(換算75-375mm)
約405gで、375mm相当まで届く望遠ズームです。補正(VR)付きなので、ボディ内補正のない2機種でも望遠側を手持ちで使えます。運動会や公園の鳥なら、多くの場面で足ります。
NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR:DXなら600mm相当まで(換算42-600mm)
フルサイズ用の高倍率ズームですが、DX機に付けると600mm相当まで届きます。400mmまで届くのに標準ズームに近い携帯性で、約725gを重めと感じる人もいるかもしれませんが、標準ズームと望遠ズームの2本を持つよりずっと軽く済みます。角形のフードは逆さに付けたままでもズーム全域を操作できるので、鞄から出してすぐ撮れます。
望遠端はF8と暗いので、晴れた屋外向きです。広角端は42mm相当になるので、広い景色は別のレンズに任せることになります。飛行機や野鳥を撮るなら、握りの深いZ50IIと組むほうが構えやすいはずです。
単焦点:明るさでブレを防ぐ
NIKKOR Z DX 24mm f/1.7:いちばん軽い明るい単焦点(換算36mm)
約135gと、キットの16-50mmと同じくらい小さな単焦点です。F1.7はキットレンズより2段以上明るく、補正がなくても室内で速いシャッターを保てます。36mm相当は、部屋の中の様子や旅先の街並みを、見た目に近い広さで撮るのにちょうどよい画角です。
NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7:寄れる明るい標準(換算52.5mm)
2025年に登場したDX用のマクロ単焦点です。F1.7の明るさに加えて、最短0.16mまで寄れて最大0.67倍の接写ができます。料理や花、小物のアップから、背景をぼかした人物まで、1本で幅広く撮れます。約220gと軽く、52.5mm相当は見た目に近い標準の画角です。
NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition):Z fcに似合う小さな1本(換算42mm)
フルサイズ用の小さな単焦点で、約160gです。クラシックなデザインの鏡筒で、Z fcの外観によくなじみます。DX機では42mm相当になり、付けっぱなしのスナップ用に向きます。同じ光学系でデザインが異なる通常版もあります(26mm f/2.8との比較)。
NIKKOR Z 40mm f/2(SE):軽い中望遠(換算60mm)
約170gで、DX機では60mm相当の中望遠寄りの標準になります。F2で背景をぼかしやすく、人物の上半身やテーブルフォトに向きます。こちらもクラシックなデザインで、Z fcと組み合わせると見た目の統一感が出ます。
SIGMA 56mm F1.4 DC DN:人物を撮るなら(換算84mm)
人物撮影の定番の画角(84mm相当)になるAPS-C用の単焦点で、約285gです。F1.4で背景を大きくぼかせて、開放の明るさで補正のないボディでも速いシャッターを保てます。発表会で少し離れた席から表情を狙うのにも使えます。
組み合わせ例(本体込みの重さ)
| 目的 | ボディとレンズ | 合計の重さ |
|---|---|---|
| いちばん身軽に | Z fc + Z 28mm f/2.8(SE) | 約605g |
| 1本で旅行 | Z50II + Z DX 18-140mm | 約865g |
| 明るい標準ズーム | Z50II + Z DX 16-50mm f/2.8 | 約880g |
| 単焦点2本 | Z fc + Z DX 24mm f/1.7 + SIGMA 56mm F1.4 | 約865g |
| 風景の旅 | Z50II + Z DX 12-28mm + Z DX 16-50mm f/2.8 | 約1,085g |
| 運動会・子どもの行事 | Z50II + Z DX 16-50mm f/2.8 + Z DX 50-250mm | 約1,285g |
Z50IIは撮影可能枚数が250枚(メーカー公表値・モニター使用時)と少なめなので、運動会のような長い行事では予備のバッテリーを用意してください。
よくある質問
Z50IIとZ fc、レンズ選びは変わりますか
付けられるレンズは同じです。Z50IIは握りが深いので、重い望遠や大きな標準ズームでも構えが安定します。Z fcは軽さと外観が魅力なので、小さな単焦点や18-140mmのような軽いズームが似合います(2機種の比較)。
一眼レフ用のFマウントのレンズは使えますか
ニコン純正のマウントアダプター(FTZ II)を使えば、Fマウントのレンズを付けられます。すでに持っているレンズがあるなら、まずそれを試してから買い足すのが無駄のない方法です。
キットの16-50mmは手放したほうがいいですか
手放す必要はありません。約135gと驚くほど小さいので、F2.8のズームや単焦点を主に使うようになっても、荷物を減らしたい日の1本として役立ちます。