レンズに書かれた「24-70mm」「85mm」という数字が焦点距離です。写る範囲を決める、いちばん基本の数字ですが、mmという単位なので直感が働きにくいところがあります。
この記事では、数字と実際の写りを結びつけます。
結論
- 数字が小さいほど広く写り、大きいほど遠くが大きく写ります。
- 35mmと50mmが「見た目に近い」範囲。ここを基準に考えると迷いません。
- APS-Cは1.5倍、マイクロフォーサーズは2倍して考えます。レンズの表記はフルサイズ基準ではありません。
- 焦点距離は「写る範囲」だけでなく、背景の見え方も変えます。望遠は背景が大きく写り、広角は遠ざかります。
焦点距離ごとの写り方
| 焦点距離 | 呼び方 | 写る範囲 | 向く被写体 |
|---|---|---|---|
| 14〜20mm | 超広角 | 視野よりずっと広い。手前が誇張される | 星空、建築、狭い室内 |
| 24〜28mm | 広角 | その場の空気ごと入る | 風景、スナップ、集合写真 |
| 35mm | 準標準 | 見たままに近い。少し広い | スナップ、日常、旅の記録 |
| 50mm | 標準 | 見たままに近い | 人物、テーブルフォト、日常 |
| 85〜135mm | 中望遠 | 被写体だけを切り取れる | ポートレート、花 |
| 200〜300mm | 望遠 | 離れた被写体を引き寄せる | 運動会、舞台、動物園 |
| 400mm以上 | 超望遠 | 近づけないものを大きく | 野鳥、飛行機、スポーツ |
被写体との距離の目安
「人物の上半身を入れるには、どれくらい下がるか」で考えると実感がつかめます。
| 焦点距離 | 上半身 | 全身 |
|---|---|---|
| 35mm | 約1.5m | 約3m |
| 50mm | 約2m | 約4m |
| 85mm | 約3.5m | 約7m |
| 135mm | 約5m | 約10m |
室内で85mmを使うと、壁に背中がついて撮れないことがあります。「良いレンズ」でも、場所に合わなければ使えません。
換算:APS-Cとマイクロフォーサーズ
レンズに書かれた焦点距離は、レンズそのものの性質です。センサーが小さいカメラに付けると、写る範囲が狭くなります。
| レンズの表記 | フルサイズ | APS-C(×1.5) | キヤノンAPS-C(×1.6) | マイクロフォーサーズ(×2) |
|---|---|---|---|---|
| 16mm | 16mm | 24mm相当 | 25.6mm相当 | 32mm相当 |
| 23mm | 23mm | 34.5mm相当 | 36.8mm相当 | 46mm相当 |
| 35mm | 35mm | 52.5mm相当 | 56mm相当 | 70mm相当 |
| 56mm | 56mm | 84mm相当 | 89.6mm相当 | 112mm相当 |
| 150mm | 150mm | 225mm相当 | 240mm相当 | 300mm相当 |
APS-C用のレンズが「23mm」「56mm」といった中途半端な数字になっているのは、換算して35mm・85mm相当にそろえているためです。
背景の見え方が変わる
焦点距離は、写る範囲だけでなく、背景との距離感も変えます。
- 広角は、背景が遠くに見えます。手前のものは大きく、奥のものは小さく。奥行きが強調されます。
- 望遠は、背景が近くに見えます。被写体と背景が押し縮められたように写ります(圧縮効果)。山を大きく背負わせた写真は、望遠で撮られています。
同じ大きさに人物を写すとき、広角なら近づき、望遠なら離れます。近づくと顔の手前(鼻)が大きく写るため、人物には85mm前後が自然だとされます。
単焦点とズーム
| 単焦点 | ズーム | |
|---|---|---|
| 焦点距離 | 固定 | 可変 |
| 明るさ | F1.2〜F1.8が選べる | F2.8が上限のことが多い |
| 大きさ | 小さく軽い | 大きく重い |
| 価格 | 同じ明るさなら安い | 高い |
| 撮影 | 自分が動く | その場で変えられる |
「単焦点のほうが写りが良い」とよく言われますが、現行のズームは十分に写ります。単焦点の本当の利点は、同じ価格と重さでずっと明るいことです。
用途別の目安
| 撮るもの | 焦点距離(フルサイズ換算) | 記事 |
|---|---|---|
| 旅行・日常 | 24-105mm | 旅行に持っていく1本 |
| 人物 | 50mm・85mm | ポートレートのレンズ |
| 星空 | 14-24mm | 星空を撮る機材 |
| 運動会 | 300mm以上 | 運動会の望遠レンズ |
| 野鳥・飛行機 | 400mm以上 | 野鳥・飛行機の超望遠 |
よくある質問
「35mm換算」とは何ですか
フィルム時代の35mm判(いまのフルサイズ)を基準にした言い方です。「換算50mm」は、フルサイズで50mmのレンズを使ったときと同じ範囲が写る、という意味です。
ズーム倍率(10倍ズームなど)は何を表しますか
望遠端÷広角端です。18-180mmなら10倍。倍率が大きいほど便利ですが、その分だけ無理な設計になり、開放F値は暗くなります。
テレコンバーターとは
レンズとカメラの間に入れて焦点距離を伸ばす機材です。1.4倍なら400mmが560mmに、2倍なら800mmになります。ただしF値が1段(1.4倍)または2段(2倍)暗くなり、対応レンズも限られます。