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航空祭の撮影設定:シャッター速度・ISO・AFの決め方を、計算で確かめる

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航空祭の飛行展示で最初に試す設定は、シャッター速度1/1000秒、絞りは開放、ISOはオート(上限6400前後)、連続AF+高速連写です。ここから、機体の種類と明るさに合わせて動かします。

この記事では、なぜその数字になるのかを計算で確かめます。速度と距離から写真のブレを見積もり、回転翼が止まるシャッター速度を求め、天気ごとに必要なISOを出します。理由が分かると、当日に光や機体が変わっても自分で調整できます。

結論:機体ごとの設定の早見表

撮るものシャッター速度絞りISO
ジェット機の飛行展示1/1000秒(望遠が長いなら1/1600秒)開放オート
プロペラ機(飛行中)1/250秒前後から開放〜F8オート
ヘリコプター(飛行中)1/60〜1/125秒F8前後低め
流し撮り1/250秒から始めて1/125秒へF8前後低め
地上展示1/250秒前後F5.6〜F8100〜400

撮影モードはシャッター速度優先、またはマニュアル露出+ISOオートが向いています。シャッター速度を固定したまま、雲が出ても撮り続けられるからです。

 キヤノンニコンソニー富士フイルムパナソニック
シャッター速度優先TvSSSS
動くものを追うAFサーボAFAF-CAF-CAF-CAFC

シャッター速度:なぜ1/1000秒が基準になるのか

機体を追わなければ、1/1000秒でもブレる

まず計算してみます。時速300km(秒速約83m)の機体が、300m先を真横に通過するとします。これを400mm(フルサイズ、2420万画素)で撮ると、機体の像はセンサーの上を秒速約111mmで動きます。

1/1000秒の間に動くのは約0.11mmです。画素に直すと約18画素。カメラを止めたままなら、1/1000秒でも機体ははっきりブレます。

追いかけるから止まる

実際には機体を追いかけて撮るので、ブレるのは「追い切れなかった分」だけです。仮に機体の動きの9割を追えていたとすると、残りの1割がブレになります。

シャッター速度追わない場合9割追えた場合
1/2000秒約9画素約1画素
1/1000秒約18画素約2画素
1/500秒約37画素約4画素
1/250秒約74画素約7画素
1/125秒約148画素約15画素

1/1000秒なら、多少追い方が乱れても2画素ほどで収まります。1/250秒になると同じ追い方で7画素ブレるので、歩留まりが落ちます。1/1000秒は、腕の差を吸収してくれる速さだと考えると分かりやすいはずです。

ブレの量は「焦点距離÷距離」に比例する

同じ計算から、次のことが分かります。

  • 焦点距離が1.5倍(600mm)なら、ブレも1.5倍。1/1000秒で3画素になるので、1/1600秒に上げると元に戻せます。
  • 距離が半分(150m)なら、ブレは2倍。近くを通過する瞬間ほど、速いシャッターが要ります。
  • 高画素機は画素の単位で見ると不利。同じセンサーサイズで画素が多いと、同じブレが多くの画素にまたがります。4500万画素なら、等倍で見たときのブレは約1.4倍です。

APS-Cのカメラは、換算の焦点距離で考えてください。400mmをAPS-C(1.5倍)で使うと600mm相当なので、ブレも600mmと同じように考えます。

回転するものは、止めないシャッター速度を選ぶ

プロペラやヘリコプターの回転翼は、速いシャッターだと止まって写ります。飛んでいる機体なのに回転が止まっていると、宙に浮いた模型のように見えてしまいます。

ヘリコプターは1/250秒でも止まる

中型ヘリコプターの主回転翼は、1秒に4回転ほどです(機種によって違います)。1回転は360度なので、シャッターが開いている間に翼がどれだけ回るかを計算できます。

シャッター速度翼が回る角度(1秒4回転の場合)
1/1000秒約1.4度
1/250秒約6度
1/125秒約12度
1/60秒約24度
1/30秒約48度

4枚の翼は90度ずつ離れています。1/250秒の6度ではほとんど止まって見えるので、回転を残すには1/125秒より遅くする必要があります。まず1/125秒で試し、余裕があれば1/60秒まで落とします。ゆっくり飛ぶ場面が多いので、ジェット機ほど速いシャッターは要りません。

プロペラ機はヘリより回転が速い

プロペラはヘリの回転翼より何倍も速く回るので、同じ角度を回すのに必要な時間は短くなります。1/250秒から試し、背面の液晶で拡大して、羽根が止まって見えたら1/125秒に落とすのが手堅い手順です。

電子シャッターで羽根が曲がることがある

電子シャッターは、センサーを上から順に読み出します。読み出している間に羽根が回るので、プロペラや回転翼が曲がって写ることがあります(ローリングシャッター歪み)。回転するものを撮るときは、メカシャッターを選ぶと防げます。読み出しが速い積層型のセンサーでは歪みが小さくなり、全画素を同時に読み出すグローバルシャッターのα9 IIIでは原理的に起きません。

絞り:飛んでいる機体は開放でよい

「ピントの合う範囲が浅くなるから絞る」と考えがちですが、遠くの機体では心配ありません。400mm F5.6で300m先に合わせたときのピントの合う範囲を計算すると、手前約228mから奥約438mまで、約210mあります(許容錯乱円0.03mmの場合)。全長15mの機体は十分に収まります。

600mm F6.3でも約97mあるので、機体の前後がボケることはありません。飛行展示で絞る理由があるとすれば、レンズの解像が開放より少し上がることくらいです。その分シャッター速度かISOを犠牲にするので、光が足りないときは迷わず開放にしてください。

流し撮りでは、逆に絞ります。シャッター速度を落とすと写真が明るくなりすぎるので、F8からF11まで絞って釣り合わせます。

ISO:天気ごとに必要な数字

シャッター速度を1/1000秒に固定したとき、必要なISOは明るさとレンズの開放F値で決まります。目安は次のとおりです。

空の明るさF5.6F6.3F8
快晴(EV15)ISO 100ISO 125ISO 200
薄曇り(EV14)ISO 200ISO 250ISO 400
曇り(EV12〜13)ISO 400〜800ISO 500〜1000ISO 800〜1600
厚い雲・冬の夕方(EV10〜11)ISO 1600〜3200ISO 2000〜4000ISO 3200〜6400

望遠端F8のレンズは、F5.6より1段暗いので、ISOが2倍になります。晴れた日はまったく問題になりませんが、11月から12月の午後は光が弱くなるので、ここで差が出ます。ISOオートの上限を6400にしておくと、冬の曇り空でも1/1000秒を保ちやすくなります。ノイズは後から減らせますが、ブレは戻せません。

露出補正:空を背景にすると機体が暗くなる

空は明るいので、カメラは画面全体を暗めに調整します。その結果、機体の影になった面が暗く写ります。プラス1/3からプラス1の露出補正をかけると、機体の色が出やすくなります。特に曇り空が背景のときは、補正を多めにします。

ただし、白いスモークや機体の白い面が飛んでしまうと戻せません。ヒストグラムの右端を見ながら、白が張り付かないところまでにしてください。マニュアル露出+ISOオートでも、露出補正が効く機種が多くあります。

AFと連写

  • 連続AF+被写体検出。カメラに「飛行機」や「乗り物」の検出があれば選びます。機種によって名前と対象が違うので、当日までに一度確認してください。
  • AFエリアは広めから。背景が空だけのときは、広いエリアでも機体をつかまえます。背景に建物や山が入る低い位置では、エリアを狭くすると背景に引っ張られにくくなります。
  • レンズのフォーカスリミッターを遠距離側に。切り替えスイッチのあるレンズなら、近距離を探しに行かなくなるので、見失ったときの戻りが速くなります。
  • 高速連写は、短く区切る。押し続けるとメモリーへの書き込みが追いつかなくなります。すれ違いや旋回の頂点など、ここという数秒に使います。RAWの連続撮影枚数は機種ごとに大きく違うので、比較ツールで確認できます。
  • 手ブレ補正は入れたまま。望遠ではファインダーの像が安定して、機体を追いやすくなります。流し撮り用のモードがあるレンズやカメラなら、横に振るときはそちらを使います。

流し撮りのシャッター速度

背景を流して速さを見せる撮り方です。先の表のとおり、1/250秒なら9割追えていても7画素ブレます。つまり成功率は下がる前提で、連写でまとめて撮ります。

  1. 1/250秒から始める。
  2. 背面の液晶で機体の文字を拡大して、止まっていれば1/125秒へ。
  3. F8〜F11まで絞り、ISOは下限にして、明るくなりすぎないようにする。
  4. 通過の前から機体を追い始め、シャッターを切ったあとも振り続ける。

地上を走る機体や、離陸直後の機体で試すと、飛行展示より距離が安定していて練習になります。

当日の最初の10分でやること

  1. オープニングの飛行で、1/1000秒・開放・ISOオートのまま数枚撮る。
  2. 背面の液晶で機体の文字を拡大して、ブレとピントを確かめる。
  3. ヒストグラムを見て、露出補正を決める。
  4. ISOが上限に張り付いていたら、シャッター速度を1/800秒、1/640秒と下げる。

ここで決めた設定が、その日の基準になります。光が変わったら、もう一度同じ手順で見直してください。

暗くなる季節のレンズ選び

冬の航空祭で差が出るのは、望遠端の明るさです。F値が1段明るいと、ISOを半分にできます。一方で明るいレンズは重くなるので、手持ちで持てる範囲で選びます。

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM:軽さと明るさの釣り合い

約1,370gで500mmまで届き、望遠端はF7.1です。F8のレンズより約1/3段明るいことになります。手持ちの航空祭で、500mmまで欲しいキヤノンのユーザーに向きます。

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S:400mmでF5.6

望遠端F5.6で約1,435gです。F8のレンズと比べると、同じ1/1000秒でISOが半分で済みます。もっと明るさを求めるなら、発表されたばかりのNIKKOR Z 120-300mm f/2.8 TC VR Sという選択肢もありますが、約2,735gあります。

何ミリが必要かは飛行機撮影のレンズは何ミリ必要?で計算できます。マウント別の一覧は超望遠レンズの比較にまとめました。持ち込める機材は基地によって違うので、航空祭の持ち込みルールまとめも確認してください。

よくある質問

RAWとJPEG、どちらで撮るべきですか

露出を後から直せるRAWをおすすめします。ただし1枚あたりの容量が大きく、連写の続く枚数も減ります。メモリーカードの容量と書き込み速度を確認しておいてください。

ISOはどこまで上げてよいですか

上限は6400前後を目安にしています。機種によって差があるので、手持ちのカメラで一度試しておくと安心です。ブレた写真は救えませんが、ノイズは現像ソフトで減らせます。

F8のレンズでも撮れますか

撮れます。晴れていれば1/1000秒でISO 200ほどで足ります。曇りや夕方はISOが上がるので、上の表で確かめてください。

地上展示はどう撮りますか

止まっている機体なので、シャッター速度は1/250秒前後で足ります。機体の全体にピントを合わせるならF5.6〜F8まで絞ります。人が写り込まないよう、低い位置から見上げる構図も試してください。