
日中に離着陸する飛行機を撮るなら、シャッター速度は1/1000〜1/2000秒、F値はF8前後、ISO感度は100〜400が基本の設定です。
これは感覚ではなく、筆者が国内外9つの空港で撮ってきたポートフォリオ写真のうち、撮影データが残っている98枚を集計した結果です。日中の動いている機体を写した81枚では、シャッター速度の中央値が1/1250秒、F値は84%がF7.1〜F9の範囲に収まっていました。
この記事では、その集計結果をもとに、状況ごとの設定の目安と、そう設定する理由を解説します。
状況別の設定早見表
まずは結論です。迷ったらこの表の値から始めて、撮った写真を見ながら調整してください。
| 状況 | シャッター速度 | F値 | ISO感度 |
|---|---|---|---|
| 日中の離着陸(ジェット機) | 1/1000〜1/2000秒 | F8前後 | 100〜400(オートでも可) |
| 500mm前後の超望遠 | 1/1600〜1/2500秒 | 開放〜F8 | オート |
| 流し撮り | 1/60〜1/250秒 | F8〜F11 | 100〜200 |
| 夕暮れ・夜の動いている機体 | 1/30〜1/60秒 | 開放 | 3200〜25600 |
| 夜の駐機中の機体(三脚が使える場所) | 2〜8秒 | F8前後 | 200〜500 |
表の「日中」「流し撮り」「夜」の値は、いずれも後で紹介する実際の撮影データに基づいています。
撮影データ98枚の集計結果
集計したのは、筆者のポートフォリオに入れている写真のうち、撮影データ(EXIF)が残っている98枚です。撮影地は羽田、成田、アンカレッジ、香港、フランクフルト、アムステルダム、シドニー、ホノルルと国内の地方空港で、撮影時期は2017年から2026年です。
日中のシャッター速度
ISO800以下・1/250秒より速い条件で撮った「日中の動いている機体」81枚の内訳です。
| シャッター速度 | 枚数 |
|---|---|
| 1/2000秒 | 17 |
| 1/1000秒 | 15 |
| 1/1250秒 | 11 |
| 1/800秒 | 11 |
| 1/1600秒 | 10 |
| 1/2500秒〜1/5000秒 | 8 |
| 1/320秒〜1/640秒 | 7 |
1/800〜1/2000秒の5つの値だけで81枚中64枚、約8割を占めています。中央値は1/1250秒でした。
日中のF値とISO感度
F値はF8が49枚と最も多く、F7.1〜F9で68枚(84%)になります。ISO感度はISO200が34枚、ISO160が17枚で、ほとんどがISO100〜400の範囲でした。晴れた日中なら、これだけ速いシャッター速度でも感度を上げる必要はほぼありません。
シャッター速度は1/1000秒を基準にする
シャッター速度を速くする理由は2つあります。機体の動きを止めることと、望遠レンズで起きやすい手ブレを防ぐことです。
着陸する旅客機の速度は時速250km前後で、1/1000秒の間にも7cmほど進みます。画面いっぱいに写す距離なら、この程度はブレとして目立ちません。ただし焦点距離が長くなるほど、わずかなカメラの揺れも拡大されます。500mm前後で撮るときは、1/1600秒以上に上げておくと失敗が減ります。


F値はF8前後に落ち着く
集計でF8が多かったのは、次のような理由からです。
- 機体全体にピントが合う。大型機は前後に長く、斜めから撮ると機首と尾翼の距離が大きくなります。F8前後まで絞ると、機体全体をシャープに写せます。
- ズームレンズの画質が安定する。望遠ズームは、開放から少し絞ったあたりで解像感が安定しやすくなります。
- 望遠端の開放値に近い。RF100-500mm は500mm側の開放値が F7.1 なので、望遠で撮るとF8は開放からわずかに絞った値になります。
夕方など光が足りないときは、F値にこだわらず開放で撮り、シャッター速度を優先してください。
ISO感度は「オート+上限」で使う
日中はISO100〜400で足りるため、ISOオートにしておいても問題ありません。おすすめは、シャッター速度優先(Tv / S)モードか、シャッター速度とF値を決めるマニュアル露出に、ISOオートを組み合わせる方法です。雲が出て明るさが変わっても、シャッター速度を保ったまま撮り続けられます。
夜は事情が変わります。後で紹介する夜の作例では、ISO5000〜25600まで上げています。高感度で撮った写真は、現像時にノイズ除去をかけて仕上げるのが前提です。
流し撮りは1/60秒から
背景を流して速度感を出す流し撮りでは、シャッター速度を遅くします。次の作例は、328mm・1/60秒で離陸機を追いながら撮ったものです。

いきなり1/60秒で撮ると、成功率はかなり低くなります。1/250秒くらいから始めて、慣れてきたら1/125秒、1/60秒と下げていくのがおすすめです。連写で何枚も撮り、機体の文字までシャープに写った1枚を選びます。
夜は「動く機体」と「止まっている機体」で分ける
夜の撮影では、撮るものによって設定がまったく変わります。
- 動いている機体:1/30〜1/50秒を確保し、ISOを3200〜25600まで上げる。作例では ISO25600・1/50秒で離陸機を撮っています。
- 止まっている機体:三脚が使える場所なら、ISO200〜500で2〜8秒の長時間露光にすると、濡れた路面の反射や灯火まできれいに写ります。


空港の展望デッキや航空祭の会場では三脚を使えないことがあるため、夜に動く機体を撮るなら、手ブレ補正の効くレンズと高感度に強いカメラが頼りになります。詳しくは夜の空港撮影の記事で解説しています。
ピント合わせ(AF)の設定
- AFモードはコンティニュアス(サーボ AF / AF-C)にして、動く機体にピントを合わせ続けます。
- 連写を使う。離着陸はあっという間に終わります。高速連写で撮り、良い1枚を選ぶほうが確実です。
- 被写体検出は機種によって選べる対象が違います。乗り物や飛行機を検出できる機種もあるので、手持ちのカメラの設定を一度確認しておきましょう。
この記事の作例で使っている機材
この記事の作例の多くは、次のレンズで撮っています。
まとめ
- 日中の離着陸は、1/1000〜1/2000秒・F8前後・ISO100〜400から始める。
- 500mm前後の超望遠では、1/1600秒以上を目安にする。
- 流し撮りは1/250秒から始め、慣れたら1/60秒まで下げる。
- 夜の動く機体は、1/30〜1/50秒を確保して感度を上げ、現像でノイズを除去する。
焦点距離の選び方は飛行機撮影のレンズ選びで、実際に使っているレンズの詳しい作例はRF100-500mm の実写レビューで紹介しています。